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1. 令和4年度2学期始業式での校長講話

投稿日時: 2022/08/28 担当2

 全校生徒の皆さん、おはようございます。猛暑そして新型コロナウイルスの行動制限がない夏休みが終わりました。皆さんの多くが夏季補習や部活動に熱心に励んでくれました。また、進路指導や文化祭の準備、学校説明会に協力してくれた人もいました。皆さん、ご苦労さま、また、ありがとうございます。

 コロナに関しては、生徒の皆さんの感染報告もかなり受けています。部活動も複数の部で活動停止になりました。今もって深刻な状況が続いています。この先、学級閉鎖や学年閉鎖、学校閉鎖も十分にあり得ますので、ICTを活用した学習への心の準備をお願いします。

 今週末は文化祭、2年生は10月上旬に修学旅行が控えています。基本的なコロナ感染症対策が何より重要ですので、改めて気持ちを引き締め直して対応してもらうようお願いします。また、暑い日がまだしばらく続きますので、熱中症防止対策についても引き続きよろしくお願いします。

 (中略)

 さて、今日は2つお話ししようと思います。一つ目は、8月というと戦争と平和についてです。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と核をちらつかせる威嚇によって、8月6日の広島そして9日の長崎平和祈念式典での両市長の訴えの声は、例年に増して強い口調でした。

 皆さんは、広島県の高校生が被爆者から直接体験談を聴き、その光景を絵にするという取り組みをご存じですか。広島平和記念資料館が主催するプロジェクトで、広島市立基町(もとまち)高等学校美術部有志が2007年からボランティアで参加し、既に200点を制作しているそうです。東京有楽町で作品を展示していると新聞で知りましたので、先日、観てきました。

 およそ30点の絵が展示されていて、地獄絵のような光景もあれば、中には建物の下敷きになって助けを求める女性に足をつかまれた様子が描かれたものもありました。この絵を描いた高校生は、体験を語った被爆者の方の、「女性の手を振り払った時の女性の目が頭から離れない」という言葉に、それぞれの方の心情を思いながら、何度も描き変え悩んだとコメントがついていました。また、被爆者の方も「修羅場で自分だけが助かった悔恨の気持ちが今も消えません」とコメントが記されていました。

 これらの絵は被爆者の方と何度も打ち合わせをしながら修正を重ね記憶に近づける作業のため、半年から1年かけて完成させるそうです。被爆者が目にした光景が絵となって後世に伝えられるということに、大変大きな意味があると思います。しかも、高校生が原爆の記憶を継承する取組に関わり、高校生自身が深く反戦と平和の心を培っていることは、大変素晴らしいことだと思いました。絵は描けないにしても、何かしら私たちにもできることがあるのではないかと感じました。

 二つ目は、8月中に亡くなられた世界的な二人のファッションデザイナーから学ぼう、という話です。一人は、8月5日に亡くなられた三宅一生氏。「イッセイ ミヤケ」ブランドは世界で確固たる地位を築いています。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズさんが好んで着用していた黒のタートルネックも三宅氏のデザインです。

 彼の衣服づくりの思想は「一枚の布」という概念です。それは洋の東西を問わず、身体とそれを覆う布、そのあいだに生まれるゆとりや間(ま)の関係を、根源から追求するものだそうです。その研究は一本の糸を見つめることに始まり、独自の素材開発に拡がり、新たな衣服へと発展させるというこだわりです。

 身体の動きとフォルムの探求では、布以外の素材に挑戦しました。また、性別や年齢や体型を問わずに着ることのできる“日常”のための生活着への提案は、幅広い支持を得ています。彼の生み出すデザインは、グラフィックやプロダクトをはじめ、さまざまなデザイン領域に影響を与えました。その功績から文化勲章を受章されています。三宅氏からは、独創性、創造性、飽くなき探究心の大切さを教えられます。 

 もう一人は、8月11日に亡くなられた森英恵氏です。ファッション界で初めて世界に進出した人、蝶のデザインはあまりにも有名です。彼女の作品は、「東洋と西洋の融合」をテーマに、日本的なモチーフや伝統技術を取り入れた女性らしいデザインが特徴です。皇后雅子さまが結婚の儀で着用したローブデコルテや二つのオリンピックで日本選手団の公式服を手がけたほか、日本航空をはじめとする企業や公共施設、学校の制服も数多くデザインしました。女性の社会進出においても草分け的存在で、ファッション界で初めて文化勲章を授与されています。そんな彼女を成功に導いた原動力は反骨精神です。それは、次の言葉からわかります。

 「ニューヨークに初めて行った時、デパートの地下で日本製のブラウスがたった1ドルで売られていたの。「メード・イン・ジャパン」は安物の象徴だったのです。しかも、オペラ「マダム・バタフライ」を見に行くと、主役が畳の上を下駄を履いて歩いていた。許せませんでした。恥ずかしさと、怒りが込み上げてきました。何とかしなければ……。その決意が、その後、日本人デザイナーとして、日本の布を使い、日本人の手で作った服の良さを世界で認めさせたいと、私のエネルギーになりました。」

 また、若い人に向けて次のように言っています。「若い人たちには、周囲を見回して無難に生きようとするのではなく、自分の今いる場所をしっかりと踏みしめながら、積極的に社会に関わっていこうとする生き方を大事にしていただきたい。その先に、世界に関わっていける自分の舞台もあると思うからです。」

 皆さんが将来、それぞれの舞台で活躍できるよう、この言葉を覚えておいてほしいと思います。 

 さあ、2学期は文化祭あり、2年生は修学旅行あり、3年生は進路実現の本番を迎える学期です。皆さんそれぞれの「志」を大事に、一人一人が個性を発揮し、自分らしく、自分が最も力を発揮できるように最大限力が伸ばせるように、大いに勉強に部活動にその他の活動に取り組んでほしいと思います。