全校生徒の皆さん、あけましておめでとうございます。2023年(令和5年)がスタートしました。兎は跳ねることから卯年は景気が上向くことが期待される年だそうです。新年の企業トップの景気予想も回復に前向きのようです。ただし、依然として新型コロナウイルスの感染状況とロシアによるウクライナ侵攻の状況がカギを握っています。
この一年、皆さん一人一人にとって学業や部活動などでの飛躍を期待します。秩父高校全体においても、3年後に新しい学校になるという目標に向けて飛躍の年になってほしいと思います。
冬休み中、寒さに負けず1,2年生は部活動等によく励んでいました。3年生も受験準備の追い込みで頑張ったことと思います。気がかりなのは、依然として高い感染状況の新型コロナウイルス。どうやらオミクロン株「BA・5」から別の変異株に置き替わりつつあるとの分析結果が出ています。特に3年生は大学入試を控え、インフルエンザと併せて感染防止対策をしっかりやってください。
さて、2学期末に興味深い行事が2つ行われましたので紹介します。
一つ目は、2学期終業式の日の午後に、都内の駒場学園高校の8名の生徒が来校し、生徒会の皆さんを中心に、お祭りをテーマに話し合うという交流会が行われました。
お互いの住んでいる地区の良さや課題、お祭りに対する思いなど出し合い、最後はお祭りが100年先まで続いたら秩父の課題がどこまで解消できるか相談し合いました。正に持続可能な社会をどうやって作るかというSDGsに関する探求学習だったわけです。
生徒同士は初めて出会ったばかりですが、最後にはとても打ち解け合っていました。異なる環境に暮らす価値観の異なる者同士が交わると、そこにすばらしい反応が生まれることを実感させられました。
もう一つ、1年生は総合的な探究の時間で秩父の課題を観光の視点で解決するにはどうしたらいいか考え発表してもらいましたが、12月26日に県内8校の探究活動推進校の成果発表が開かれ、1年4組の3名に代表で発表してもらいました。他校に負けないアイディアで堂々とした発表をしてもらいました。
この日のテーマは「越境することでの学び」です。自分の知らない世界で体験したり人に出会うことで、見方や考え方が変わり、今まで当たり前だと思っていた自分や身の回りのことについて新たな視点で考えることが出来る、というものです。先ほどの駒場学園高校との交流も正に「越境」による効果です。ぜひ、秩父高校ではこのような機会を増やしたいと思います。
話は変わって、新春恒例の箱根駅伝では駒澤大学が往路復路とも優勝、大学駅伝三冠を達成しました。同じ日の新聞に40大学の学長が新春メッセージを掲載していました。
これを見ますと、最も多くの大学で発せられた言葉は、「自ら課題を見つけ解決する力」です。次いで「IT、データサイエンス」、「地域連携」、「SDGs」、「文理融合」と続き「グローバル」、「多様性」、「知性」といた言葉が共通ワードとなっていました。正に現代社会における課題や課題解決に関係する事柄です。
多くの皆さんが未来を生き抜く力を求めて大学をはじめ上級学校に進むのだと思います。教科書に出てくる知識の習得はもちろんですが、今挙げた共通ワードについても今から意識して、自らの学びの幅を広げ深めておいてほしいものです。なぜなら、大学は高校で学んだことを土台として更なる専門的な発展的な学びを積み上げていきますから、できるだけ多くの知識と経験を得て、考える、探究する習慣を身に付けてほしいと思います。
もう一つ、昨年11月に東京工業大学が2024年(令和6年)4月入学の入試から、総合型選抜および学校推薦型選抜に「女子枠」を設けると発表して話題となりました。背景に、日本は他国に比べて理工系の女性研究者や女子学生が非常に少ない、世界標準から立ち遅れているという問題があります。
なぜそうなのか、東京大学の横山広美教授が研究し、『なぜ理系に女性が少ないのか』という本を出版しました。横山教授によれば、日本の「性差別についての社会風土」が要因であると分析しています。
ポイントは2つあって、一つは、理工系を専攻した後の就職先には男性向けの仕事しかないのではないかといった「就職イメージ」の強さ。もう一つは、理科や数学は男子の得意科目で女子は苦手だという誤った思い込みの強さ。特に後者は5歳ぐらいから定着し始めているそうです。また、「論理的にしゃべる、議論に強い、打たれ強い」女性は好まれにくいといった男性社会の風潮も影響しているようです。
横山教授は、「女性が知的であることに否定的な人ほど数学・物理学に男性イメージを持つことがわかった。こうした女性に対する無意識の偏見がなくならない限り、理系に進学する女性は増えないだろう、という問題の根深さが明らかになった。」と言っています。
世界経済フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」を見ると、男女格差の少ない国は1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランドとなっています。日本は153か国中121位です。特に政治や経済の分野において女性の参画率が低いことが目立ちます。
今、日本では国を挙げて女性活躍社会の推進が叫ばれています。せめて世界標準に早く追いつけるよう、女性だけでなく男性の意識改革が必要です。皆さんもこのことについて考えていただき、秩父高校が県内一男女格差の無い「ジェンダーフリー」の学校になってくれたらいいと思います。
さあ、3学期は一年の集大成の学期です。1,2年生は上の学年へ繋げる学期として、3年生はそれぞれの進路を確定させ、卒業から新たな人生のスタートに繋げる学期として頑張っていただきたいと思います。