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1. 2学期終業式での校長講話を紹介します

投稿日時: 2022/12/23 担当2

 全校生徒の皆さん、おはようございます。秩父では夜祭以降、新型コロナウイルスの感染が高止まり状況ですが、感染防止対策を徹底することで、今年度初めて、体育館に全校生徒の皆さんに集合してもらいました。

 秩高生が一堂に会して一体感を高めていただくことは、秩父高校の伝統であったり秩高生のプライドや気質を、先輩から後輩に受け継ぐ上でとても大切なことだと思っています。

 今日の次第に校歌斉唱があります。コロナの影響で、全員で歌う機会がないのは悲しいことです。今日も声を発するわけにはいきませんが、音楽選択者以外は校歌に馴染めていないところが気がかりです。

 皆さん小学校、中学校の校歌はすぐに歌えると思いますが、その時どんな気持ちになりますか。校歌には学校で過ごした思い出や先生、仲間への感謝、学校への愛着や誇りなどが込められています。皆さんも秩父高校の一員として、母校となる秩父高校の校歌を愛着をもってそして、誇りをもって歌えるようになってほしいと願っています。 

 

 さて、今日は、夢の実現についてのお話しです。。

 まずは、サッカーワールドカップ、カタール大会。日本代表は強豪ドイツとスペインを破り、その快進撃に日本中が湧きました。

 サッカーで世界に肩を並べたい。こんな夢と希望を抱いて開幕したのがJリーグ、今から29年前です。ブラジルのジーコ選手をはじめ世界の一流選手のプレーを見て、世界との差を感じたものです。Jリーグの地域に根差したクラブ運営がすそ野を広げて、世界に通用する優秀な選手が多数現れることに繋がりました。

 今回の日本代表選手の中で気になったのは、坊主頭の前田大然選手です。献身的なプレーでチームに貢献しました。大阪出身の前田選手は強豪山梨学院高校に進学しましたが、1年生の時に部活動の規律を乱したとして1年間部活動禁止を受けた過去があります。辛い経験の中でも夢を諦めず辛抱して、あの献身的な姿勢が身についたと言います。ピンチをチャンスに変えたいい例です。

 今回、選手たちからは夢を諦めない、夢を追って努力し続けた先に「新しい景色」が開けるのだ、という勇気と元気、希望をもらいました。皆さんも夢の実現を必ず引き寄せられると信じ、頑張ってほしいと思います。 

 人は色々な分野で夢を追っていますが、最近の宇宙開発での夢の実現についてお話しします。私が今、注目しているのは、宇宙飛行士を再び月面に立たせる国際プロジェクト「アルテミス計画」です。

 月面に人類を降り立たせようと、壮大な夢の実現を宣言したのは1961年、アメリカのケネディ大統領です。それが今から53年前の1969年、アポロ11号の月面着陸で夢が現実のものとなりました。アメリカの威信をかけた科学技術の発展への執念ともいえるものです。私が小学校4年生の時、教室でクラス全員でテレビ中継に見入ったことを鮮明に覚えています。

 その夢の再現が3年後に成されるそうです。これは、将来、月での資源開発の夢に繋がるものです。11月16日に、月までの試験飛行を行う無人の宇宙船オリオンを乗せた大型ロケットがアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられ、宇宙船オリオンは12月11日に予定通り地球に帰還しました。次回の有人飛行に大きな期待が寄せられます。

 宇宙ミッションで難しいのは、チャンスは一回であること、失敗が許されないことです。ですから、あらゆるトラブルを何百も想定して、あらかじめ検討し対処法を訓練しておくそうです。また、一つのミッションに多くの大学や企業関係者が関わっているため、同じ目標に向けてワンチームになることが重要だそうです。

 ただ、宇宙開発は夢ばかりではありません。人工衛星の残骸などスペースデブリ(宇宙ゴミ)の問題にも向き合わなければなりません。

 日本には、民間で宇宙開発に夢をかける人がいます。日本の宇宙ベンチャー企業ispaceの代表、袴田武史氏です。彼は現在、月面に探査機を送る「HAKTO-R」計画を実行中です。12月11日、アメリカの宇宙企業スペースXの大型ロケットが打ち上げに成功しました。このロケットに、ispaceの月着陸船が搭載されていて、順調にいけば来年の4月末頃に夢の月面着陸が実現できるそうです。

 Ispaceが月への挑戦を始めたのは12年前。ロケット打ち上げ成功後に袴田代表は「地球と月の間の輸送を発展させ、月に生活圏をつくることが人類にとって重要なことになる。それを実現したいという強い思いが、この12年間、支えてきた」と語っています。

 この月着陸船の中には「ソラキュー」という超小型月面探査ロボが搭載されています。これは玩具メーカーの「タカラトミー」とJAXAなどが開発した、野球のボールほどの大きさで重さは250gの探査機です。地面を移動する際には球体が半分に割れるように開いて、2台のカメラと姿勢制御の部品が飛び出す仕組みになっています。複雑な構造を小さく格納して、必要な時に形を変える技術は、皆さんがよく知っているおもちゃ、乗り物がロボットに変身する「トランスフォーマー」の技術が応用されています。

 おもちゃの技術が月面探査技術に応用されるなんて、実に夢のある話ではないでしょうか。子どもの夢を叶えるために積み上げてきた独創的な技術と、宇宙開発という果てしない夢がコラボした、すばらしいミッションだと思います。

 皆さんは将来の夢を抱いて進路を決めると思います。やがて就くであろう仕事では、ぜひ、やりがいを感じ社会貢献のために仕事をしてください。そこに思いがけない夢が潜んでいるかもしれません。皆さんの将来は無限大です。志を高く持って、それぞれの自己実現に向けて励んでください。

 

 さあ、明日からの冬休みは、3年生で共通テストを受験する人にとっては最後の追い込みの時期。体調管理をしっかりして、悔いの残らないように勉強に励んでください。1,2年生は、2学期の振り返りをしっかりやって、進路ガイダンスで学んだことを自分事として深く考え、保護者の方とも進路について話をしてもらいたいと思います。そして、冬休み中に自分がやるべきことに着手してほしいと思います。また、年末年始を家族との触れ合いや社会見分、読書や体験的な学びの機会にもしていただき、人間的な成長に生かしてほしいと思います。

 年末年始は人出が多くなりますので、引き続きコロナの感染防止とインフルエンザ予防、交通事故防止に十分心がけてください。元気な姿で3学期の始業式に再開できることを楽しみにします。皆さん、よいお年をお迎えください。