校長より

「地域の期待に応える活力ある進学校」を目指して

知・徳・体バランスのとれた生徒、グローカルな視点で物事を考えられる生徒の育成  


 
皆さん、こんにちは。秩父高校のホームページにアクセスしていただきありがとうございます。 

 

 秩父高校は、今年で創立117年目を迎える県下有数の伝統を誇る、秩父地域唯一の普通科進学校です。創立以来地域から愛され、優れた人材の育成を使命としています。卒業生は2万9千名を超え、政治、経済、医療、教育などの各分野で活躍されています。

 

 近年では、少子化や進路選択の多様化の中で、より一層の特色化を図るため、「礼節と主体性を備え、地域の期待に応える活力ある進学校」を目指した充実した教育プログラムの整備を進め、精力的な教育活動を展開しています。

 

 その成果として、令和6年3月の卒業生は、埼玉大学などの国公立大学に12名が合格し、慶應義塾大学をはじめとする私立大学にのべ約260名の現役合格者を出したほか、短期大学、看護系をはじめとする専門学校への進学、さらには秩父市役所などの主に地方公務員への就職と、それぞれの進路実現を果たして新たな活躍の場を求めて巣立っていきました。

 

 令和4年度入学生から新学習指導要領による教育課程が始まり、コースを「特別進学クラス」と「総合進学クラス」に再編しました。生徒それぞれの進路希望に応じたきめ細やかな講座展開や、スタディサプリをはじめとした学習プログラムを実施することで、生徒の学びへの要求と夢の実現を支援する体制を整えています。ここ3年で一気に進んだ校内ICT環境の整備によって、学びの質が大きく向上しています。

 

 本校は、新しい時代に求められる学力、「思考・判断力・表現力」や「学びに向かう力・人間性」などを育成することを目的として、令和5年度から、「県立学校学際的な学び推進事業『学・SAITAMA プロジェクト』」の指定を受け、学校内に限らず、埼玉県内外の中高校生をはじめ、秩父地域の企業や団体とのやり取りを通じて、自分たちで問題や課題を見つけることから、学びを深めていく活動をしています。 

 

 また、本校では学校行事が盛んで、体育祭やいちょう祭(文化祭)などは生徒の主体性や創造性が育まれる場となっています。部活動では弓道や陸上競技など全国大会出場の実績を誇る部をはじめ、多くの部活動が県大会出場を果たしています。そのほか、夏季休業中に行われるオーストラリアの姉妹校「ロビーナ高校」への語学研修(令和5年度から再開)は、国際的な視野を養う教育プログラムとして、本校の伝統になっています。

 

  本校では、今後も教育活動全般に精力的に取り組み、「知(知識・学力)・徳(豊かな心)・体(健やかな体)」バランスの取れた人材の育成に努めて参ります。そして、秩父地域の伝統や文化にプライドを持ちながら「グローカル」な視点を備えた人材の育成に力を入れ、県内はもとより全国そして世界に羽ばたく人材を育成し、地域の期待に応えて参ります。

 

 中学3年生の皆さん、皆さんが生きる未来はますます予測困難です。未来を創り未来を生きるための学びを、進化し続ける秩父高校でいっしょに学んでみませんか。

                                                                        令和6年4月  校長 守屋 和昭       

※「グローカル」:「グローバル」と「ローカル」を合わせた造語。地球規模の視野を持ち、草の根の地域の視点で様々な事象を捉えていこうとする考え方。

 

 

 

掲示板

校長室だより

令和4年度修了式での校長講話を紹介します

 1,2年生の皆さん、おはようございます。3年前から苦しめられてきたコロナ感染はほぼ終息に近づいてきました。学校も4月1日からマスクの着用に関しては原則、求めないことになります。もちろんマスクを外したくない人は結構ですし、混雑する電車や高齢者施設、病院などはマスク着用の制限がありますので、時と場合によって臨機応変に対応してもらうようお願いします。 

 さて、例年より早く桜が開花し、海の向こうからはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝という嬉しい知らせが届きました。侍ジャパンの戦いぶり、特に目標に向けてチーム一丸になってひた向きになって いる姿、選手を信頼し続けた監督そしてそれに応えた選手の姿に、大きな力をもらいました。大変気分よく春休みそ  して新学期を迎えられそうです。 

 4月から皆さんは2年生、3年生になります。新入生も入ってきます。新2年生は先輩として、新3年生は最上級生かつ受験生として学力の向上と豊かな心、たくましいからだを鍛え、それぞれの目標に向けて大いに頑張ってほしいと思います。そのスタートがしっかり切れるように、明日からの春休みを有効に過ごしてください。 

 先日、国際刑事裁判所(ICC)が、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのプーチン大統領らに逮捕状を出したというニュースが流れました。ウクライナ人の子供をロシア領に不法に連行するなどした疑いがあるという容疑です。残念ながらロシアは国際刑事裁判所設立条約に加盟していないため、逮捕される見込みはないそうですが、国際機関がプーチン大統領個人の責任を追及する姿勢を鮮明にしたことで、少しでも早い戦争終結につながることを期待したいと思います。 

 外務省のホームページによると、国際刑事裁判所は2003年にオランダのハーグに本部が置かれ、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪)を犯した個人の訴追・処罰を任務とする常設の国際刑事法廷です。世界123か国が加盟し、日本は2007年に105番目に加盟しました。ただし、ロシアのほかアメリカも中国も加盟していない点が大国のエゴを感じます。

 大統領に対しての逮捕状は、2009年にスーダンのバシール大統領に対して出されています。これは、反政府勢力との抗争で約20万人の死者と約200万人の難民を出した責任を追及したものです。

 日本の貢献としては、資金拠出額が最も多く約30億円。裁判官に過去3名輩出していて、いずれも女性というところが目を引きます。 

 さて、今年度最後のお話は、幕末の思想家、橋本左内という人が15歳の時に記した「啓発録」という書物についてです。

 橋本左内は、幕末に今の福井県、福井藩医(医者)の子として生まれました。16歳で大阪の適塾で緒方洪庵に師事し、医者となりますが、江戸遊学で西郷隆盛らと交流して幕府改革の思想に傾倒し、福井藩主の側近となりました。将軍継嗣問題で一橋派の中心として活躍しましたが、井伊直弼が大老になると安政の大獄で囚われの身となり、吉田松陰らとともに26歳の若さで処刑されてしまいました。

 「啓発録」は橋本左内が大阪に向かう前年の15歳の時に、自ら立派な人間になるための心得を書いたものです。5つの項目からなり、次のように述べています。 

1「稚心を去る」・・・「稚心」とは「子供っぽい心」のこと。目先の遊びなどの楽しいことや怠惰な心や親への甘えは、学問の上達を妨げ、武士としての気概をもてないので、捨て去るべきである。

2「気を振う」・・・人に負けまいと思う心、恥を知り悔しいと思う心を常に持ち、たえず緊張を緩めることなく努力すること。

3「志を立つ」・・・自分の心の赴くところを定め、一度こうと決めたらその決心を失わないように努力すること。

4「学を勉む」・・・すぐれた人物の素行を見倣い、自らも実行する。また、学問では何事も強い意志を保ち努力を続けることが必要だが、自らの才能を鼻にかけたり、富や権力に心を奪われることのないよう、自らも用心し慎むとともに、それを指摘してくれる良い友人を選ぶよう心掛ける。

5「交友を択(えら)ぶ」・・・同郷、学友、同年代の友人は大切にしなければいけないが、友人には「損友」と「益友」があるので、その見極めが大切で、もし益友といえる人がいたら、自分の方から交際を求めて兄弟のように付き合うのがよい。 

 優れた能力がありながら志を果たせないまま命を落とした橋本左内ですが、自ら記した心得に沿って、全力で突き進んだ姿に敬服します。その言葉、姿勢に16歳、17歳の皆さんにも感じるところがあると思います。ぜひ、節目のこの時期に自分自身を見直していただき、新たな気持ちで新年度を迎えていただきたいと思います。

 明日から春休み、くれぐれも交通事故や病気、ケガに気を付けてください。元気な姿で4月7日の始業式を迎えられることを願います。

第73回卒業証書授与式での校長式辞を紹介します

 荒川を渡る風も寒さが緩み、秩父路も春の訪れを感じる季節となりました。武甲山が穏やかに見下ろすこの佳き日に、PTA会長様、後援会会長様、同窓会副会長様のご臨席と、大勢の保護者の皆様のご列席を賜り、ここに埼玉県 立秩父高等学校第73回卒業証書授与式が挙行できますことは、誠に喜ばしいことです。本校を代表して心から御礼申 し上げます。 

 ただ今、呼名され、代表に卒業証書を授与いたしました219名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 今日は、国の方針に沿って、この3年間で初めてマスクの着用を求めない卒業式が実現しました。入学以来、マスク生活を強いられてきた皆さんにとって、3年間学びを共にした仲間の表情をお互いに見合わすことができる、最初 で最後の儀式です。3学年の先生方にとりましても新鮮で感慨深いものとなっていることでしょう。保護者の皆様におかれましては、お子さまの晴れ姿と喜びの表情がしっかりご覧いただけるものと思います。

 さて、皆さんが入学してから今日までの三年間を振り返りますと、コロナに振り回され我慢を強いられることばかりで、特に入学後の長期休校や感染不安の中での教育活動は、大きな心のストレスになったことと思います。

 しかしながら、皆さん一人一人が志を高く持ち、文武両道によく努め、コロナ禍で出来る活動を先生方と探り、工夫しながらよく取り組んでこられました。学習環境や進路活動の環境が十分に整わない中でも学力の向上に努め、それぞれの進路実現に励んでこられたことは、さすが秩高生です。

 学校行事では、2年生の修学旅行が方面を北陸に変更して実施することができました。また、皆さんにとって最後の文化祭は、コロナ感染拡大の真っ只中での開催となったものの、さすがは3年生という企画と展示内容でした。素晴らしい思い出になったことと思います。

 ただ、コロナ以前の、青春を存分に感じるような高校生活を送らせてあげられなかったことは誠に悔やまれるところです。 

 皆さんは明日から、自分の責任において自らの人生を切り開いていく、大いなる旅に出ることになります。皆さんを待ち構えているのは、先行きの見えにくい難しい時代です。ロシアによるウクライナ侵攻から一年、エネルギー価格の高騰をはじめ、あらゆる物の値段が高騰し生活を圧迫しています。一刻も早く平和で安定した世界に戻ることを願います。また、明日で東日本大震災から十二年になりますが、先月はトルコで甚大な被害を出す巨大地震が発生しました。気候変動問題への対応も待ったなしです。国内では少子高齢化、人口減少問題は将来の国力に関わる重大問題です。我が秩父地域においては既に深刻な地域課題になっています。 

 このような難しい時代だからこそ、皆さんに大事にしてもらいたいことは、人への思いやりと感謝の気持ち、多様性を受け入れる寛容、常に前向きに考える姿勢、他者と協力して課題解決を図る力、人の幸せのために役立つことを自らの幸福と捉える価値観です。

 また、より一層個性が求められる時代です。豊かな自然と伝統文化、人情味あふれる人々に囲まれて育まれた感性に加え、部活動や勉強に打ち込んで得た特技や才能を更に磨いて、あなたらしい魅力的な人間になってもらいたいと思います。 

 秩父高校卒業生に課せられた使命の一つは、自ら描く志の実現によって、この社会がこの暮らしが少しでも良くなるように社会貢献してもらうことです。皆さん一人一人の前途が輝かしく成功に導かれることを願って、「成功哲学」というお話をしたいと思います。 

 皆さんは、アメリカの「鉄鋼王」と称されて巨大な富を築いたアンドリュー・カーネギーという人をご存じでしょうか。彼はスコットランドの貧しい機織り職人の子として生まれ、13歳でアメリカに移民しました。彼は野心家で先見性があり、周囲の人をうまく使う能力に優れていて、次々と事業を成功させてアメリカンドリームをつかんだわけです。

 カーネギーは築いた財産を教育基金の設立や公共図書館の建設で社会に還元しました。それと同時に、成功者に共通する資質や法則性を体系化したいと考えていました。そこへ、成功談を取材にやって来た雑誌記者を捕まえて「成功哲学」をプログラム化してほしいともちかけたわけです。

 この提案を受けたのが25歳の若者、ナポレオン・ヒルという人物でした。ヒルは、実に20年かけて500人のデータを収集し、体系化された成功プログラム「ナポレオン・ヒル・プログラム」を完成させました。

 このプログラムは17の原則から成り、その組み合わせによってオーダーメードの成功ノウハウを組み立てることができるというものです。それらの原則に関して、ヒルの言葉を6つほど紹介しましょう。

・願望や目標を明確化することは、それらを成就するための出発点である。

・友好的で調和のとれた人間関係は、互いに与え合うこと で得られる最良の財産である。

・まず第一に、自分自身に対して正直になることから始め よ。

・自分の希望どおりに人生を生きようとする人々にとって、積極的な心構えは絶対的な必要条件である。

・希望的観測や憶測を捨てよ。事実の持つ客観性こそ重要 なのだ。

・人間に挫折や失敗はつきものである。問題は、そこから教訓と成功の糧を引き出せるか否かである。

 卒業生の皆さんには秩父愛を持ち続けていただき、将来地域のために活躍するのもよし。全国そして世界に目を広げ、グローバルに活躍するのもよし。秩父高校に誇りを持って、それぞれの道で大いに活躍され成功をつかんでいただくことを期待します。

  保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。コロナ禍での3年間は、さぞご心配のことが多かったことと存じます。それでも、お子様の成長を願い励ましてこられた保護者の皆様に敬意を表します。

 学校といたしましては、至らぬ点があったと思いますが、教職員一同、コロナ禍でできることを必死で探り、お子様の成長を願って精一杯の支援をして参りました。保護者の皆様には、これまで本校の教育にご理解とご協力を賜りましたことを深く感謝申し上げます。また、令和八年度からは新しい秩父高校に生まれ変わりますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 結びに、卒業生一人一人の今後の人生が、喜びに満ち、輝かしいものになりますことを心から祈念し、式辞といたします。 

 令和5年3月10日

        埼玉県立秩父高等学校長 町田 邦弘 

3学期始業式での校長講話を紹介します。

 全校生徒の皆さん、あけましておめでとうございます。2023年(令和5年)がスタートしました。兎は跳ねることから卯年は景気が上向くことが期待される年だそうです。新年の企業トップの景気予想も回復に前向きのようです。ただし、依然として新型コロナウイルスの感染状況とロシアによるウクライナ侵攻の状況がカギを握っています。 

 この一年、皆さん一人一人にとって学業や部活動などでの飛躍を期待します。秩父高校全体においても、3年後に新しい学校になるという目標に向けて飛躍の年になってほしいと思います。 

 冬休み中、寒さに負けず1,2年生は部活動等によく励んでいました。3年生も受験準備の追い込みで頑張ったことと思います。気がかりなのは、依然として高い感染状況の新型コロナウイルス。どうやらオミクロン株「BA・5」から別の変異株に置き替わりつつあるとの分析結果が出ています。特に3年生は大学入試を控え、インフルエンザと併せて感染防止対策をしっかりやってください。 

 さて、2学期末に興味深い行事が2つ行われましたので紹介します。

 一つ目は、2学期終業式の日の午後に、都内の駒場学園高校の8名の生徒が来校し、生徒会の皆さんを中心に、お祭りをテーマに話し合うという交流会が行われました。

  お互いの住んでいる地区の良さや課題、お祭りに対する思いなど出し合い、最後はお祭りが100年先まで続いたら秩父の課題がどこまで解消できるか相談し合いました。正に持続可能な社会をどうやって作るかというSDGsに関する探求学習だったわけです。

 生徒同士は初めて出会ったばかりですが、最後にはとても打ち解け合っていました。異なる環境に暮らす価値観の異なる者同士が交わると、そこにすばらしい反応が生まれることを実感させられました。

 もう一つ、1年生は総合的な探究の時間で秩父の課題を観光の視点で解決するにはどうしたらいいか考え発表してもらいましたが、12月26日に県内8校の探究活動推進校の成果発表が開かれ、1年4組の3名に代表で発表してもらいました。他校に負けないアイディアで堂々とした発表をしてもらいました。 

 この日のテーマは「越境することでの学び」です。自分の知らない世界で体験したり人に出会うことで、見方や考え方が変わり、今まで当たり前だと思っていた自分や身の回りのことについて新たな視点で考えることが出来る、というものです。先ほどの駒場学園高校との交流も正に「越境」による効果です。ぜひ、秩父高校ではこのような機会を増やしたいと思います。

  話は変わって、新春恒例の箱根駅伝では駒澤大学が往路復路とも優勝、大学駅伝三冠を達成しました。同じ日の新聞に40大学の学長が新春メッセージを掲載していました。

  これを見ますと、最も多くの大学で発せられた言葉は、「自ら課題を見つけ解決する力」です。次いで「IT、データサイエンス」、「地域連携」、「SDGs」、「文理融合」と続き「グローバル」、「多様性」、「知性」といた言葉が共通ワードとなっていました。正に現代社会における課題や課題解決に関係する事柄です。

  多くの皆さんが未来を生き抜く力を求めて大学をはじめ上級学校に進むのだと思います。教科書に出てくる知識の習得はもちろんですが、今挙げた共通ワードについても今から意識して、自らの学びの幅を広げ深めておいてほしいものです。なぜなら、大学は高校で学んだことを土台として更なる専門的な発展的な学びを積み上げていきますから、できるだけ多くの知識と経験を得て、考える、探究する習慣を身に付けてほしいと思います。

 もう一つ、昨年11月に東京工業大学が2024年(令和6年)4月入学の入試から、総合型選抜および学校推薦型選抜に「女子枠」を設けると発表して話題となりました。背景に、日本は他国に比べて理工系の女性研究者や女子学生が非常に少ない、世界標準から立ち遅れているという問題があります。

  なぜそうなのか、東京大学の横山広美教授が研究し、『なぜ理系に女性が少ないのか』という本を出版しました。横山教授によれば、日本の「性差別についての社会風土」が要因であると分析しています。

 ポイントは2つあって、一つは、理工系を専攻した後の就職先には男性向けの仕事しかないのではないかといった「就職イメージ」の強さ。もう一つは、理科や数学は男子の得意科目で女子は苦手だという誤った思い込みの強さ。特に後者は5歳ぐらいから定着し始めているそうです。また、「論理的にしゃべる、議論に強い、打たれ強い」女性は好まれにくいといった男性社会の風潮も影響しているようです。

 横山教授は、「女性が知的であることに否定的な人ほど数学・物理学に男性イメージを持つことがわかった。こうした女性に対する無意識の偏見がなくならない限り、理系に進学する女性は増えないだろう、という問題の根深さが明らかになった。」と言っています。

 世界経済フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」を見ると、男女格差の少ない国は1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランドとなっています。日本は153か国中121位です。特に政治や経済の分野において女性の参画率が低いことが目立ちます。 

 今、日本では国を挙げて女性活躍社会の推進が叫ばれています。せめて世界標準に早く追いつけるよう、女性だけでなく男性の意識改革が必要です。皆さんもこのことについて考えていただき、秩父高校が県内一男女格差の無い「ジェンダーフリー」の学校になってくれたらいいと思います。

 さあ、3学期は一年の集大成の学期です。1,2年生は上の学年へ繋げる学期として、3年生はそれぞれの進路を確定させ、卒業から新たな人生のスタートに繋げる学期として頑張っていただきたいと思います。

2学期終業式での校長講話を紹介します

 全校生徒の皆さん、おはようございます。秩父では夜祭以降、新型コロナウイルスの感染が高止まり状況ですが、感染防止対策を徹底することで、今年度初めて、体育館に全校生徒の皆さんに集合してもらいました。

 秩高生が一堂に会して一体感を高めていただくことは、秩父高校の伝統であったり秩高生のプライドや気質を、先輩から後輩に受け継ぐ上でとても大切なことだと思っています。

 今日の次第に校歌斉唱があります。コロナの影響で、全員で歌う機会がないのは悲しいことです。今日も声を発するわけにはいきませんが、音楽選択者以外は校歌に馴染めていないところが気がかりです。

 皆さん小学校、中学校の校歌はすぐに歌えると思いますが、その時どんな気持ちになりますか。校歌には学校で過ごした思い出や先生、仲間への感謝、学校への愛着や誇りなどが込められています。皆さんも秩父高校の一員として、母校となる秩父高校の校歌を愛着をもってそして、誇りをもって歌えるようになってほしいと願っています。 

 

 さて、今日は、夢の実現についてのお話しです。。

 まずは、サッカーワールドカップ、カタール大会。日本代表は強豪ドイツとスペインを破り、その快進撃に日本中が湧きました。

 サッカーで世界に肩を並べたい。こんな夢と希望を抱いて開幕したのがJリーグ、今から29年前です。ブラジルのジーコ選手をはじめ世界の一流選手のプレーを見て、世界との差を感じたものです。Jリーグの地域に根差したクラブ運営がすそ野を広げて、世界に通用する優秀な選手が多数現れることに繋がりました。

 今回の日本代表選手の中で気になったのは、坊主頭の前田大然選手です。献身的なプレーでチームに貢献しました。大阪出身の前田選手は強豪山梨学院高校に進学しましたが、1年生の時に部活動の規律を乱したとして1年間部活動禁止を受けた過去があります。辛い経験の中でも夢を諦めず辛抱して、あの献身的な姿勢が身についたと言います。ピンチをチャンスに変えたいい例です。

 今回、選手たちからは夢を諦めない、夢を追って努力し続けた先に「新しい景色」が開けるのだ、という勇気と元気、希望をもらいました。皆さんも夢の実現を必ず引き寄せられると信じ、頑張ってほしいと思います。 

 人は色々な分野で夢を追っていますが、最近の宇宙開発での夢の実現についてお話しします。私が今、注目しているのは、宇宙飛行士を再び月面に立たせる国際プロジェクト「アルテミス計画」です。

 月面に人類を降り立たせようと、壮大な夢の実現を宣言したのは1961年、アメリカのケネディ大統領です。それが今から53年前の1969年、アポロ11号の月面着陸で夢が現実のものとなりました。アメリカの威信をかけた科学技術の発展への執念ともいえるものです。私が小学校4年生の時、教室でクラス全員でテレビ中継に見入ったことを鮮明に覚えています。

 その夢の再現が3年後に成されるそうです。これは、将来、月での資源開発の夢に繋がるものです。11月16日に、月までの試験飛行を行う無人の宇宙船オリオンを乗せた大型ロケットがアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられ、宇宙船オリオンは12月11日に予定通り地球に帰還しました。次回の有人飛行に大きな期待が寄せられます。

 宇宙ミッションで難しいのは、チャンスは一回であること、失敗が許されないことです。ですから、あらゆるトラブルを何百も想定して、あらかじめ検討し対処法を訓練しておくそうです。また、一つのミッションに多くの大学や企業関係者が関わっているため、同じ目標に向けてワンチームになることが重要だそうです。

 ただ、宇宙開発は夢ばかりではありません。人工衛星の残骸などスペースデブリ(宇宙ゴミ)の問題にも向き合わなければなりません。

 日本には、民間で宇宙開発に夢をかける人がいます。日本の宇宙ベンチャー企業ispaceの代表、袴田武史氏です。彼は現在、月面に探査機を送る「HAKTO-R」計画を実行中です。12月11日、アメリカの宇宙企業スペースXの大型ロケットが打ち上げに成功しました。このロケットに、ispaceの月着陸船が搭載されていて、順調にいけば来年の4月末頃に夢の月面着陸が実現できるそうです。

 Ispaceが月への挑戦を始めたのは12年前。ロケット打ち上げ成功後に袴田代表は「地球と月の間の輸送を発展させ、月に生活圏をつくることが人類にとって重要なことになる。それを実現したいという強い思いが、この12年間、支えてきた」と語っています。

 この月着陸船の中には「ソラキュー」という超小型月面探査ロボが搭載されています。これは玩具メーカーの「タカラトミー」とJAXAなどが開発した、野球のボールほどの大きさで重さは250gの探査機です。地面を移動する際には球体が半分に割れるように開いて、2台のカメラと姿勢制御の部品が飛び出す仕組みになっています。複雑な構造を小さく格納して、必要な時に形を変える技術は、皆さんがよく知っているおもちゃ、乗り物がロボットに変身する「トランスフォーマー」の技術が応用されています。

 おもちゃの技術が月面探査技術に応用されるなんて、実に夢のある話ではないでしょうか。子どもの夢を叶えるために積み上げてきた独創的な技術と、宇宙開発という果てしない夢がコラボした、すばらしいミッションだと思います。

 皆さんは将来の夢を抱いて進路を決めると思います。やがて就くであろう仕事では、ぜひ、やりがいを感じ社会貢献のために仕事をしてください。そこに思いがけない夢が潜んでいるかもしれません。皆さんの将来は無限大です。志を高く持って、それぞれの自己実現に向けて励んでください。

 

 さあ、明日からの冬休みは、3年生で共通テストを受験する人にとっては最後の追い込みの時期。体調管理をしっかりして、悔いの残らないように勉強に励んでください。1,2年生は、2学期の振り返りをしっかりやって、進路ガイダンスで学んだことを自分事として深く考え、保護者の方とも進路について話をしてもらいたいと思います。そして、冬休み中に自分がやるべきことに着手してほしいと思います。また、年末年始を家族との触れ合いや社会見分、読書や体験的な学びの機会にもしていただき、人間的な成長に生かしてほしいと思います。

 年末年始は人出が多くなりますので、引き続きコロナの感染防止とインフルエンザ予防、交通事故防止に十分心がけてください。元気な姿で3学期の始業式に再開できることを楽しみにします。皆さん、よいお年をお迎えください。 

令和4年度2学期始業式での校長講話

 全校生徒の皆さん、おはようございます。猛暑そして新型コロナウイルスの行動制限がない夏休みが終わりました。皆さんの多くが夏季補習や部活動に熱心に励んでくれました。また、進路指導や文化祭の準備、学校説明会に協力してくれた人もいました。皆さん、ご苦労さま、また、ありがとうございます。

 コロナに関しては、生徒の皆さんの感染報告もかなり受けています。部活動も複数の部で活動停止になりました。今もって深刻な状況が続いています。この先、学級閉鎖や学年閉鎖、学校閉鎖も十分にあり得ますので、ICTを活用した学習への心の準備をお願いします。

 今週末は文化祭、2年生は10月上旬に修学旅行が控えています。基本的なコロナ感染症対策が何より重要ですので、改めて気持ちを引き締め直して対応してもらうようお願いします。また、暑い日がまだしばらく続きますので、熱中症防止対策についても引き続きよろしくお願いします。

 (中略)

 さて、今日は2つお話ししようと思います。一つ目は、8月というと戦争と平和についてです。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と核をちらつかせる威嚇によって、8月6日の広島そして9日の長崎平和祈念式典での両市長の訴えの声は、例年に増して強い口調でした。

 皆さんは、広島県の高校生が被爆者から直接体験談を聴き、その光景を絵にするという取り組みをご存じですか。広島平和記念資料館が主催するプロジェクトで、広島市立基町(もとまち)高等学校美術部有志が2007年からボランティアで参加し、既に200点を制作しているそうです。東京有楽町で作品を展示していると新聞で知りましたので、先日、観てきました。

 およそ30点の絵が展示されていて、地獄絵のような光景もあれば、中には建物の下敷きになって助けを求める女性に足をつかまれた様子が描かれたものもありました。この絵を描いた高校生は、体験を語った被爆者の方の、「女性の手を振り払った時の女性の目が頭から離れない」という言葉に、それぞれの方の心情を思いながら、何度も描き変え悩んだとコメントがついていました。また、被爆者の方も「修羅場で自分だけが助かった悔恨の気持ちが今も消えません」とコメントが記されていました。

 これらの絵は被爆者の方と何度も打ち合わせをしながら修正を重ね記憶に近づける作業のため、半年から1年かけて完成させるそうです。被爆者が目にした光景が絵となって後世に伝えられるということに、大変大きな意味があると思います。しかも、高校生が原爆の記憶を継承する取組に関わり、高校生自身が深く反戦と平和の心を培っていることは、大変素晴らしいことだと思いました。絵は描けないにしても、何かしら私たちにもできることがあるのではないかと感じました。

 二つ目は、8月中に亡くなられた世界的な二人のファッションデザイナーから学ぼう、という話です。一人は、8月5日に亡くなられた三宅一生氏。「イッセイ ミヤケ」ブランドは世界で確固たる地位を築いています。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズさんが好んで着用していた黒のタートルネックも三宅氏のデザインです。

 彼の衣服づくりの思想は「一枚の布」という概念です。それは洋の東西を問わず、身体とそれを覆う布、そのあいだに生まれるゆとりや間(ま)の関係を、根源から追求するものだそうです。その研究は一本の糸を見つめることに始まり、独自の素材開発に拡がり、新たな衣服へと発展させるというこだわりです。

 身体の動きとフォルムの探求では、布以外の素材に挑戦しました。また、性別や年齢や体型を問わずに着ることのできる“日常”のための生活着への提案は、幅広い支持を得ています。彼の生み出すデザインは、グラフィックやプロダクトをはじめ、さまざまなデザイン領域に影響を与えました。その功績から文化勲章を受章されています。三宅氏からは、独創性、創造性、飽くなき探究心の大切さを教えられます。 

 もう一人は、8月11日に亡くなられた森英恵氏です。ファッション界で初めて世界に進出した人、蝶のデザインはあまりにも有名です。彼女の作品は、「東洋と西洋の融合」をテーマに、日本的なモチーフや伝統技術を取り入れた女性らしいデザインが特徴です。皇后雅子さまが結婚の儀で着用したローブデコルテや二つのオリンピックで日本選手団の公式服を手がけたほか、日本航空をはじめとする企業や公共施設、学校の制服も数多くデザインしました。女性の社会進出においても草分け的存在で、ファッション界で初めて文化勲章を授与されています。そんな彼女を成功に導いた原動力は反骨精神です。それは、次の言葉からわかります。

 「ニューヨークに初めて行った時、デパートの地下で日本製のブラウスがたった1ドルで売られていたの。「メード・イン・ジャパン」は安物の象徴だったのです。しかも、オペラ「マダム・バタフライ」を見に行くと、主役が畳の上を下駄を履いて歩いていた。許せませんでした。恥ずかしさと、怒りが込み上げてきました。何とかしなければ……。その決意が、その後、日本人デザイナーとして、日本の布を使い、日本人の手で作った服の良さを世界で認めさせたいと、私のエネルギーになりました。」

 また、若い人に向けて次のように言っています。「若い人たちには、周囲を見回して無難に生きようとするのではなく、自分の今いる場所をしっかりと踏みしめながら、積極的に社会に関わっていこうとする生き方を大事にしていただきたい。その先に、世界に関わっていける自分の舞台もあると思うからです。」

 皆さんが将来、それぞれの舞台で活躍できるよう、この言葉を覚えておいてほしいと思います。 

 さあ、2学期は文化祭あり、2年生は修学旅行あり、3年生は進路実現の本番を迎える学期です。皆さんそれぞれの「志」を大事に、一人一人が個性を発揮し、自分らしく、自分が最も力を発揮できるように最大限力が伸ばせるように、大いに勉強に部活動にその他の活動に取り組んでほしいと思います。

令和4年度1学期終業式校長講話

 全校生徒の皆さん、おはようございます。

 ここのところ、新型コロナウイルスの急激な感染拡大が進み、不安を抱えての夏休み突入となります。夏季補習や部活動で登校する皆さんには、発熱やのどの痛みなど風邪症状があったら、絶対に学校に来ない、部活動に参加しないというルールを守ってください。家族に同様の症状があった場合も同じです。毎回お願いしていることですが、密状態を避け、マスクを外しての会話、特に会話しながらの食事はしないなど、基本的な感染症対策を確実に行うことが大切です。毎日の検温、健康観察をよろしくお願いします。 

 このような中ですが、19日、20日は3年ぶりに川瀬まつりが行われ、秩父の夏の風物詩が戻ってきました。経済活動を止めずにコロナを前提に生活する、まさにウィズ・コロナの実践の場だったと言えます。

 今回、今まで認めていなかったお祭り関係での公欠を一部認めました。伝統文化の担い手としてお祭りに欠かせない人材であるとして、町会から学校に派遣依頼の文書が来ていたものです。伝統文化を支える活動は立派な体験活動であり、地域貢献を果たすものであるとして、特別に認めることにしました。 

 川瀬まつりは秩父で一番大きな祇園祭です。この時期、全国の至る所で「祇園さま」とか「天王さま」と呼ばれるお祭りが行われますが、このことについて少しお話ししましょう。

 これらの祭りのルーツは京都の祇園祭です。これは9世紀半ばに、京の都をはじめ全国で疫病が流行ったときに、天皇の命によって疫病を鎮める神事が行われたのが始まりとされています。

 では、「祇園」とは何でしょう。平家物語の出だしは、「祇園精舎の鐘の声・・・」。祇園精舎とは釈迦が説法を行ったインドの寺院の一つで、その守護神が「牛頭天王(ごずてんのう)」、別名「祇園天神」という疫病を司る神様です。祇園祭が行われる京都の八坂神社は、この牛頭天王が日本神話の「荒ぶる神」スサノオノミコトと同一神として祀られています。この神様を信仰して災厄や疫病を退散させようという「祇園信仰」が全国各地に広まったわけです。

 この信仰は実に1150年も続いているわけで、日本人の平安を祈る気持ちの深さや、文化を守り継承しようとする誠実さを感じます。祭りに参加する私たちもこの伝統の継承者ですから、秩父高校生にはその由来についての知識を持っていてもらいたく、お話ししました。 

 さて、1学期は皆さんに大きな発表を2つ行いました。一つは、来年度から土曜授業は行わないということです。自分が自分自身を高めたり進路実現に向けて準備をするために、主体的に土曜日を活用してください、という趣旨をお話ししました。これは、明日からの夏休みを過ごす上での考え方と共通しています。まずは高い志に基づいた計画を立て、勉強に部活動その他の活動に主体的に取り組んでください。夏休みを終えたときに、必ず自分自身の成長を実感できるはずです。

 二つ目は、先週お話しした皆野高校との統合についてです。新校の開校は令和8年4月ですから、皆さんには直接影響はありません。しかしながら母校となる秩父高校の将来は気になるところだと思います。夏休み中に県教育委員会から先生方と保護者や学校関係者に説明がありますので、その内容は生徒の皆さんにもお伝えします。皆さんには、伝統ある秩父高校の歴史の継承者として、人間的な成長を果たせるようしっかりと励んでいただきたい。そのために先生方は一丸となって教育活動の充実に励んでいきます。ぜひ、この機会に皆さん一人一人が自己の意識の確認をしていただきたいと思います。それが、夏休みの過ごし方にプラスに反映されることを期待します。

  話は変わりますが、芸術鑑賞会でバレエのすばらしさを鑑賞した日、衝撃的な事件が起こりました。安倍元首相が凶弾に倒れ死亡という、今の日本では考えられないような事件です。この事件、皆さんの中にも相当の動揺を覚えた人がいたと思います。私の大学生の子も「勉強が手につかない」とLINEを送ってきました。事件の背景は次第にわかってきていますが、歴代最長の内閣総理大臣を務めた国家の重鎮を、このような形で失うとは、残念というより憤りを強く感じるのは私だけではないでしょう。改めて、暴力によって一方的に現状を変えようとする行為には断じて許してはいけない。命の大切さ人権の尊重は絶対に守られなければいけないと強く感じます。

 3年生は進路で面接が課せられる人も多いと思いますが、「最近の興味・関心のあるニュースは何ですか」と問われたら、この事件のことを答えようという人もいるでしょう。「驚いた」とか「許せない」だけでは、秩父高校生としては物足りないです。事件における問題点や今後の社会の在り方、自分の生き方への影響などを語れる受験生を目指したいものです。秩父高校生は社会性があり、自分の考えをしっかり持っていると高く評価してもらえれば、進路実現の道が開けるかもしれません。

 この事件に限らず、いろいろな社会問題に関心を持ち、それに向き合って自分の考えを持つことは、進路における面接対応ということではなく、18歳成人という社会において、高校生に一層求められるものだと思います。

 さあ、明日からの夏休みは、短期間で自分自身を大きく成長させられる絶好の機会です。3年生は進路実現に向けて大きく前進してください。1,2年生は、この夏の過ごし方が皆さんの将来に影響を与えることを自覚して、一日一日を大切に、充実した生活を送ってください。読書や体験的な学びを取り入れてくれることを推奨します。

 元気が出ない、心がすぐれない、不安だという人は、いろいろな相談窓口を活用したり、気分転換を図ってみることをお勧めします。

 くれぐれもコロナ感染や熱中症には気を付けて、交通事故その他問題が起きないよう心掛けてください。元気な姿で2学期の始業式に再開できることを楽しみにします。

令和4年度入学式の式辞を紹介します

 秩父盆地もあちらこちらで桜の花が咲き誇り、心が躍る春本番を迎えました。この佳き日に、PTA会長様、後援会会長様の御臨席を賜り、令和4年度埼玉県立秩父高等学校入学式を挙行できますことは、在校生そして教職員一同にとって大きな喜びとするところです。

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染は未だに収まらず、この入学式も感染防止の観点から、新入生の皆さんのみに式場に入ってもらいました。保護者の皆様には、お子さまの晴れ姿を式場でご覧いただくことが叶いませんことを大変心苦しく思います。どうかご理解の上、ご容赦願いま 

 ただ今、入学を許可いたしました199名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。また、保護者の皆様には、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。

 皆さんは今日から秩父高校の生徒となりました。初めて出会う仲間、初めて出会う先生に緊張しながらも、どんな授業が行われるのか、部活動は何部に入ろうかと、明日からの高校生活に期待を膨らませていることと思います。そこで、高校生活のスタートを切る皆さんに、よりよい人生の道へ進んでもらえるよう、次の三つのことを心掛けてもらいたいと思います。 

 一つ目は、今年で創立115年目を迎える、歴史と伝統ある秩父高校の生徒になったという自信と誇り、そして、責任感を持って、何事にも主体的で積極的な姿勢で毎日を過ごしてもらいたいということです。

 秩父高校は地域唯一の普通科進学校として、地域の期待に応える教育活動を進めてまいりました。卒業生は28,000名を超え、地元をはじめ県内、全国で活躍されています。新入生の皆さんもやがて地域で、そして全国で社会に貢献する人材となることが期待されています。そのことをぜひ、自覚してください。

 新入生から実施される新学習指導要領による教育は、今まで以上に主体的な活動や協働による学び、探求的な学習に重きが置かれます。また、部活動や学校行事などで皆さんが輝き、充実した学校生活が送れるように、ぜひ、胸を張り前向きで積極的な姿勢で高校生活を送ってください。 

 二つ目は、将来の夢や目標、志をしっかり持っていただきたいということです。

 秩父高校には一人一人の進路希望に合わせ、皆さんの代から特別進学クラスSとA、それと、総合進学クラスに再編成しました。授業以外にも朝小テストや進学補習、スタディサプリなど進路実現に向けた充実した指導体制が整えられています。先輩たちはそれを活かし努力して、夢の実現を引き寄せる進路実績を収めています。皆さんもそれに続いてほしいと期待しています。ただし、努力し続けるということは並大抵なことではありません。それを継続させる力は何かと言えば、それは夢や志、信念です。これらが自分を律し、頑張り続ける原動力になるのです。

 よく、「初心忘れるべからず」と言われますが、まさに皆さんが高校3年間を過ごす上での初心、3年間の目標と誓いを立てていただき、併せて大きな夢を抱いていただきたいと思います。明治維新の精神的指導者で29歳の若さで亡くなった吉田松陰は、夢についてこう言っています。

「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」 

 三つ目は、教養を備えた心豊かな人間になろうと、常に意識して生活してもらいたいということです。

 私たちは新型コロナウイルスのパンデミックに加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という国際問題に直面しています。世界的な気候変動、人口やエネルギー問題、自然災害など、未来は平坦ではありません。そのような社会を生きる皆さんには、物事を創造したり的確に判断する力、協力して問題解決にあたるチームワーク力などが欠かせません。

 歴史学者で元一橋大学学長の阿部謹也は、「自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のために何ができるかを知っている状態、あるいは知ろうと努力している状況」を教養と定義しました。まさに、皆さんが社会に出て行くまでに高校生として身につけたい知識や思考、姿勢です。

 また、社会生活を送る上で人間性は大変重要です。思いやりや感謝の気持ち、礼節、コミュニケーション力、人権感覚に倫理観、主権者・消費者としての意識。3年生になり18歳の誕生日を迎えると成人です。人間としての厚みを増すことが皆さんの人生を豊かにしてくれるのです。 

 二度とない高校時代。皆さんには無限の可能性があります。思う存分、勉学そして部活動などに取り組んでください。皆さんが持つ潜在的な能力が3年間で大きく伸長し、人間的にも大きく成長して、それぞれの夢の実現に近づいてもらうことを切に願います。

 最後に、保護者の皆さまにおかれましては、本校の進める「地域の期待に応える活力ある進学校づくり」にご理解をいただき、学校を信頼し連携を密にしていただいて、お子様の確かな成長と進路実現にご協力いただきますようお願い申し上げ、式辞といたします。 

 令和4年4月8日                     埼玉県立秩父高等学校長 町田 邦弘

1学期始業式での校長講話を紹介します

 3学期終業式から2週間。皆さんは今日、2年生、3年生としてそれぞれの教室に入りました。皆さん一人一人が、この1年をどこに目標を定め、どのように過ごそうか、どんな成果や結果を残そうかと、自分自身の目標と計画、そして抱負について、既に定めてもらったでしょうか。これからという人、早めにやってください。 

 今日の午後、199名の新入生が入学します。2年生は先輩の立場で、勉強においても部活動や学校行事においても後輩の手本となるよう、秩高生としてのプライドを持って、しっかりした学校生活を送ってください。

 2年生は高校3年間で最も幅広く活動できる学年です。また、夢の実現に向けてじっくり考え、その土台づくりができる学年です。更に、人間的にも最も自分を成長させられる学年であると思います。ぜひ、充実した1年間になるよう、目標・計画をしっかり立て良好なスタートを切ってください。 

 3年生は言うまでもなく、夢の実現をぐっと引き寄せる上で大変重要な1年間です。高校生の集大成として、1学期は部活動引退まで悔いが残らないように精一杯取り組みましょう。勉強はもちろん1学期から計画的に行い、常に自らの学力の定着度を確認しながら、貪欲に上を目指して頑張ってもらいたいと思います。

 進路意識を高く持っていないと、流れに乗り遅れて焦ってしまい、良い結果が得られないということが、毎年見受けられます。ぜひ、一人一人が緊張感をもって生活してもらうとともに、仲間同士が気付き合い助け合って、共に進路実現が果たせるようにしてほしいと思います。また、受験勉強は長丁場、体力がものを言いますから、日頃から運動と睡眠、栄養に留意して過ごしてみてください。 

 新型コロナウイルスは、春休み中も相変わらず感染を広げ、残念なことに本校の関係者も複数人が陽性者となりました。部活動も活動停止になった部があります。新学期、学級閉鎖や学年閉鎖などになると勉強にも部活動にも多大な影響が出ます。今まで以上にコロナに警戒心を持っていただき、もし気が緩んでいる人がいたとしたら気を引き締め直して、改めて感染防止対策をしっかりやってくれるよう、強く皆さんにお願いします。特に注意するのは、マスクを外して複数人で食事をする場面、マスクなしで接触を伴ったり近距離で活動する部活動です。よろしくお願いします。 

 さて、4月1日から多くのものが値上がりしました。ウクライナ侵攻に関連して更に物価が上昇するのではと気がかりです。4月1日、皆さんにとって大きく変わったものがありますね。そうです。民法が改正されて成年年齢が18歳に引き下げられました。3年生は誕生日が来た日から成人です。自分の意思で様々な契約ができるようになるわけです。また、裁判員の選任資格も18歳からになります。人を裁く場面にあなたが関わることもありうるということです。

 さまざまな問題を抱える現代社会において、18歳成人は、若者の責任ある社会参加を促そうということだと思います。そこで重要なのは、世の中の現状はどうなっているのか正しく認識し、自分は世の中のためにどんなことができるのか、どんなことをしたいのかと考えることです。それがあなたの現実的な将来の夢や志に繋がるのだと思います。 

 歴史学者の 阿部謹也 元一橋大学学長は、「教養とは何か」について、ちょっと変わった定義をしました。彼によると、「教養」とは、「自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のために何ができるかを知っている状態、あるいは知ろうと努力している状況」だといいます。これは、社会状況を正しく認識できる豊富な知識と、情報の収集・分析、判断、表現する力が求められます。自己理解ができて、社会における問題意識、自分なりの題解を持って、それを解決しよう、探究しようとする姿勢があること、実際に問題解決に向けたアクションがあることを指していると思います。 

 今、大学が学生に求めているのは、ここで言っている「教養」を身につけることではないでしょうか。総合型選抜や学校推薦型選抜において受験生の何を見ているかと言えば、ここでいう「教養」をどれだけ身に着けたのか、特に探究的な活動への取組姿勢や取組状況を評価しているようです。

 皆さんには真の「教養」が身につくよう、意識を高く日々を過ごしてもらいたいと思います。

3学期終業式での校長講話を紹介します

 1,2年生の皆さん、おはようございます。

 まん延防止等重点措置期間が21日で終了しましたが、一年の締めくくりの儀式を全校生徒で行えないというのは残念に思います。新型コロナウイルスの感染は、依然として新規陽性者の数はかなり出ていますし、ここにきて本校も学級閉鎖が出て、決して気を緩めるわけにはいきません。

 明日から春休み、行楽シーズンに加え、引っ越し等で人の移動が多くなります。普段会わない人に会ったりする機会も多くなるでしょう。感染リスクが高まりますので、感染のリバウンドが起きる可能性があると専門家は指摘しています。

 皆さんには、春休み中も毎日検温して健康観察を続けてください。できるだけ密を避け、外出の際はマスク着用、手洗いと消毒、大人数での会話しながらの食事を控えるなど、従来の感染防止対策をしっかり継続するようお願いします。

 さて、この1年を振り返ってみますと、コロナによって学校生活に多くの制限がなされ、2度の分散登校やコロナ対応の文化祭など本来の学校生活ができませんでした。1年生は高校生として、秩高生として確かな成長ができたでしょうか。2年生は修学旅行が実現できたことはとてもよかったですが、それぞれの夢の実現に向け、高校生活の折り返しの学年として満足のいくものだったでしょうか。

 皆さんの学業への取り組み状況を見ますと、コロナ禍で厳しい状況でしたが、日々の授業や課題、小テストなどによく取り組み、成績優良者の割合は1学年が30%、2学年は33.2%でした。皆勤賞の人もたくさんいます。また、部活動やその他の活動でも成果を挙げた人が多く、大変よかったと思います。 

  今、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻で、国際社会は大きく揺れ動いています。連日報道される現地の街と人々の惨状は日に日に悲惨さを増し、愛する祖国のために必死になっているゼレンスキー大統領とウクライナの人々を応援しないわけにはいきません。

それに対し、真実を知らされず、プーチン大統領の都合のいい主張を信じ込まされながら経済制裁に直面するロシア国民も気の毒です。まったくもってプーチン大統領は現代国家の指導者に相応しくない人物だと感じます。

 真実とフェイク情報が飛び交う中で、何が正しく何が間違っているのか見極める必要があります。この侵攻が始まった背景には何があるのか、ウクライナとはどんな国でどんな歴史があるのか知っておくべきでしょう。そして、私たちも他人事ではなく、日本国民として、どんな意識をもって、どんな行動ができるのか、一人一人が考える必要があると思います。

  今回の侵攻について考えるにあたり、日本の歴史も確認しておかなければなりません。日中戦争から第二次世界大戦では、旧日本軍はアジアの人々に対し、今、ロシア軍が行っているようなことをした恥ずべき過去があります。一方、連合国軍からは、日本各地の都市がウクライナで起きているような無差別攻撃を受けました。特に東京大空襲では10万人もの犠牲者が出ました。沖縄戦では県民の4人に一人にあたる約10万人弱の一般住民が犠牲になりました。そして、ついには広島、長崎への原子爆弾投下という悲劇があったことを忘れるわけにはいきません。

 私たちは戦争を憎み、平和の尊さを一番主張すべき国の一員であると思います。一刻も早くロシア軍の軍事侵攻が終結し、ウクライナに平和が戻ることを願ってやみません。

 皆さんには学校自己評価アンケートというのに答えていただきました。その結果の中で気になったことをお話しします。まず、家庭学習時間が減っているということです。1日平均2時間以上が昨年から比べて14ポイント下がって17.7%。30分~1時間が12ポイント増えて30.1%でした。

 家庭でのスマホ利用については、37.6%の人が「必要以上に使用している」と答えています。保護者の回答では53.3%ですから、自分ではそれほどではないと思っても、親としては使いすぎに映っているようです。このあたりが家庭学習時間の減少に影響しているのでしょう。また、およそ4分の3の生徒がアルバイトをすることに賛成しているというのも、勉強主体の進学校としては気になった点です。

  4月1日で、皆さんは2年生、3年生に進級します。4月8日の始業式までに、新たな学年のスタートがしっかり切れるよう、一年間の目標を立て、いかにして自分を成長させるか、夢の実現に近づくか、心構えをしっかりしておいてほしいと思います。

 夢の実現を果たす上で大事なことを、最後にお話しします。

 アメリカの第35代大統領ジョン・F・ケネディが、最も尊敬する日本人として挙げたのは、米沢藩第9代藩主上杉鷹山です。上杉鷹山は、自ら倹約や節制を行い、領民たちと同じ目線に立つことで藩を立て直した、江戸時代きっての名君といわれた人です。

 上杉鷹山が家臣に向けて言った有名な言葉、皆さんも聞いたことがある人もいるでしょうが、夢の実現を果たす上で、この言葉をしっかり胸に刻んでほしいと思います。

 「なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬなりけり」

「やればできる。何事もやらなければ成功しない。できないのは、やろうとしていないからだ。」という意味です。皆さんの主体性、積極性、実行力を期待します。

  では、春休み中、コロナ感染症対策をしつつ、健康と事故防止に十分気を付け、充実した2週間を送ってください。4月8日、学年が上がって引き締まった顔つきになった皆さんに会えることを楽しみにしています。 

第72回卒業証書授与式での式辞を紹介します

 武甲山の山肌に残る雪も少なくなり、梅の開花に春の訪れを感じる今日の佳き日に、PTA会長様、後援会会長様のご臨席を賜るとともに、大勢の保護者の皆様にご列席をいただき、ここに埼玉県立秩父高等学校第72回卒業証書授与式が挙行できますことは、コロナ禍の中にあって誠に喜ばしいことです。本校を代表して心から御礼申し上げます。

 ただ今、呼名され、代表に卒業証書を授与いたしました204名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今、皆さんの脳裏には、3年間の秩父高校での思い出が駆け巡っていることでしょう。この2年間、新型コロナウイルスの猛威によって、それ以前には当たり前のように行われていた学校生活を、皆さんに十分に送らせてあげられなかったことは、本当に悔やまれるところであります。

 しかしながら、皆さん一人一人が志を高く持ち、文武両道によく努め、切磋琢磨しながらそれぞれの進路実現に励んだこと、コロナ禍で出来る活動を先生方と探り、工夫しながら取り組んで成果を挙げたことは、さすが秩高生。皆さんの労をねぎらい、秩父高校の歴史に新たな1ページを刻んでくれたことに感謝いたします。

 さて、明日から皆さんは、自分の責任において自らの人生を切り開いていく、大いなる旅路に出ることになります。気候変動問題、高度化する情報技術、分断と格差、未知の病原体との戦いなど、皆さんの向かう社会はますます変化が激しく、予測もつきにくければ正解も見つけにくい社会です。

 明日であの東日本大震災から11年。新型コロナウイルスという困難を克服しようしている最中、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が激化するという、新たな国際社会の大問題が未来に影を落とします。

 そんな社会を生き抜いていくには、氾濫する情報から正しい情報を選択・収集し、知識と結びつけて分析する力。自ら課題を見つけ、それを解決しようとする主体性。他者と協力し、共働して物事に取り組める協調性が必要だと思います。そして、厳しい時代だからこそ大事にしたいのは、人への思いやりと感謝の気持ち、多様性を受け入れる寛容、常に前向きに考える姿勢、人の幸せのために役立つことを自らの幸福と捉える価値観です。

 幕末の思想家吉田松陰は、「志を立ててもって万事の源をなす」、「夢なき者に成功なし」など、志を持つことが何より重要だと繰り返し言っていました。皆さん自身の志はいかがでしょう。自己チェックできたら、あとは自分が信念を持って決めた道を精一杯進むだけです。

 最近、「人新世」という言葉を耳にするようになりました。今や、人類の活動が地球環境に多大な影響を与え地球全体にその痕跡を残すほどになったとして、地質時代の区分に新たに定義しようというものです。人類が豊かさを追い求めて行ってきた経済活動が、地球規模での気候変動をはじめとする様々な問題を引き起こしているわけですが、今後の私たちの振る舞いによっては、取り返しがつかないことになるという巨視的な問題意識を、次世代を担う皆さんには、常に持って生活してほしいと思います。

 グローバルな視点から、ローカルな視点に目を移してみましょう。豊かな自然と特色ある文化、人情味あふれる人々に囲まれて学んだ皆さんは、高齢化や人口減少とそれに伴う経済産業活動の衰退という地域課題に、若者の視点でもっと目を向けてよいのではないかと思います。そして、これまで培ってきた学力に加え、これから身につける専門的な学びを武器にして、将来、地域の課題解決に貢献しようというのもよし。地域から全国そして世界に目を広げて、グローバルな視点での課題解決に挑もうというのもよし。秩父を愛し、秩父高校に誇りを持ち、それぞれの道で大いに活躍してくれることを期待します。

 秩父は豊かな水に恵まれた土地です。森や田畑を潤し、命を育む水。そんな水の徳について記した「水五訓」というのが、曹洞宗大本山永平寺に掲げられています。この「水五訓」を最後に皆さんに紹介します。「水」を「人」に置き換えて聞いていただくと、人の生き方・あり方を示す言葉として、実に興味深いものになります。

 一、自ら活動して他を働かしむるは水なり

 一、常に己の進路を求めて止まざるは水なり

 一、障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり

 一、自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり

 一、洋々として大洋を充し発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霞(あられ)と化し凝(こお)っては 玲瓏(れいろう)たる鏡となり而(たえる)も基(その)性を失はざるは水なり

 保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。3年間、一喜一憂しながら、お子様の成長を願い励ましてこられた保護者の皆様に敬意を表します。学校といたしましては、至らぬ点はあったと思いますが、教職員一同、この3年間、お子様の成長を願って精一杯支援して参りました。保護者の皆様には、これまで本校の教育にご理解とご協力を賜りましたことを深く感謝申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 結びに、卒業生一人一人の今後の人生が、喜びに満ち、輝かしいものになりますことを心から祈念し、式辞といたします。

 令和4年3月10日                       埼玉県立秩父高等学校長 町田 邦弘